占い師の恋【完】


感謝の言葉を口にしようとしていたのに、店長は「あ!」と突然大きな声を出して私の声を遮る。

と。悪戯に携帯越に小さく笑い声を響かせた。


『お礼なんていらないよー。明後日からは死ぬ気で働いてもらうから、ね。』



それだけ言い残すと、店長はブツリと勝手に通話を終了させた。なんなんだ……、


はあって溜め息を一つ零した次の瞬間。私の耳にかかるのは吐息混じりの甘い声。



「大丈夫、だった?」

「……分かってるくせに。」



ニヤリと口元に弧を描いた男は、私と同じ青いピアスを右耳に光らせる。

そして。


「明日、茉希の家に行くから。待ってて。」



それだけ言うと、青はタクシーを拾いに私の傍を離れた。しばらくして私を呼ぶ声に駆け寄れば、「またね」と言われてタクシーに詰め込まれ。


ひらりと手を振る青を窓越しに横目で確認。そのままタクシーは発車して青はすぐにその場から居なくなった。

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