占い師の恋【完】
私の部屋に来客を知らせるチャイムが鳴り響いたのは朝の9時。
時間よ止まれー、とか。昔話で魔女が言ってた気がすることを思ったりしたけど。止まるわけがない。
ぐっすりと寝ることができずに、体には疲れが溜まったまま。重たい足を引きずる様に、玄関へと歩みを進める。
と。また部屋に鳴り響くチャイムの音。どうしよう…。
開けることに戸惑っていると、前もこんなことあったよなー…。ドアをガンガンと殴りつけるような鈍く大きな音。
「やめええええええええええい!!!」
時間にして0.5秒。
開け放ったドアの前には、あの意地悪く妖艶な笑顔を浮かべた男……、ではなくて。
「おはよ茉希ちゃん。」
「…は?」
怪訝な顔で見上げてしまったのは無理はないと思う。人として当たり前だ。
「……杉山さん?」
「久しぶりー。」