占い師の恋【完】
「…はあー…、」
太陽にかざすようにしていたピアスをケースにしまうと、袋に入れ直し深く溜め息を吐く。
――――…ある意味。
多くの人が行き交うこの場所で、アイツを見つけた事は紛れもなぐ奇跡゙に近い。
ふ、と視線を向けた先。視界に映る見覚えのある後ろ姿を捉えた瞬間、私はぴたりと動きを止めた。
あれは、あの時、見た…?
そう思った時には、もうその後ろ姿に向かって駆けだしていた。
確かめたい、あれは、まさか、
てかどうして私、今走ってるんだ?いや今はそんなこと考えないようにしよう、見失う。
後から考えればいい。