占い師の恋【完】
青の声を遮った真っ直ぐだがふにゃりとした声は杉山さんのもの。
一口あの甘ったるそうな珈琲を喉に流し込むと、杉山さんは口を開いた。
「もう分かってる、と思うけど。俺と愁は…まあ色々あって…、現は恋人なんだよね。」
「(なんと曖昧…。)」
「愁の家が見合い相手って聞いて…。青がいくのなんて許せるわけないでしょ?」
「それはまあ…、」
杉山さんは頬を緩めて優しく微笑むと、愁さんのミルクティー色の柔らかそうな髪を指で梳くように撫でた。
「俺だけの愁だから。だからね茉希ちゃん。茉希ちゃんが責任感じる必要なんて、どこにもないんだよ。」
「…、」
「占い師のアルバイトは辞めるけど…後悔とかないから。茉希ちゃんは、青と、ね?」
ここまでお人好しの先輩がいていいのだろうか。