占い師の恋【完】
呪文のように「ごめん、ありがとう」と呟くお父さん。
腕の下を通して、肩の辺りに腕を回し私は父の胸の中で泣いた。
こういう形で、父の前で思いっきり泣けたのは、きっと青や風見さんや棗ちゃんや杉山さん…。
私を支えてくれたすべての人のおかげであろう。
「また、会ってくれないか?」お父さんは去り際にそう聞いてきた。
が。
それには、静かに首を横に振った。これは、私なりのけじめだと思ったからだ。
そうか、と。寂しそうに笑ったお父さん。
その後ろ姿が、部屋のドアノブを回して去ろうとした瞬間。私はお父さんを呼び止めた。
ゆっくり振り返った父親は、「どうした?」とそれはもう誰よりも優しく微笑んだ。