占い師の恋【完】
その横顔は、いつもより逞しく見えて。急に恥ずかしくなってきてしまった。
目の錯覚だと言い聞かせる私は、酷い女なのだろうか…?
「勝負、あれ茉希の勝ちだよね。」
「…え、何で。」
青は「だって、」と可愛らしく首を傾げながら笑うと、視線だけを私へと下ろした。
「全部当てたし。あ!でも全体的には俺が勝ちだと思うんだけど。」
「何それ。意味分からないし。」
「えー。分かるでしょ。分からせてあげようかあ?」
青はクツリ、と。
喉を転がすように笑うと足を止めて私に向き合う。
そして、いつものように甘い罠をつくるんだ。
一度捕まえた獲物は、絶対に逃がさない。
「俺と結婚してください。」
これはある占い師と
ある不審者まがいな男と の
小さな、恋のお話。
-END-