占い師の恋【完】
ぐずりながらも家を出た私を笑顔で引っ張る青。
゙可愛い゙て言われて、まぁいいかな。なんて思ったりしたけど…。
良いわけがなかった。
こんな早朝(って言っても、家で何だかんだやってる内に9時になっていた)にも関わらず、行き交うカップル達をすれ違う度にガン見。
だって…女の子皆可愛い服着てるんだもん。
ヒラヒラのワンピースだったりヒールが高いサンダルやマキシ丈のスカートを可愛く着こなす今時な感じ。
それに比べて、私の服装まんま家着じゃん。
もっと抵抗すればよかった。なんて今更遅いけどさ。
私だって一応さ!女の子だから!
デートなら、お洒落位したいと思う。
それに……。
私の隣を表情を変えることなく歩く、この男こと青。
――何自分だけ決めてるの?
長い足にカーキ色のチノパンが良く似合う。取りあえず…言ってしまえば何でも似合うのだ。
あ。何だか無性に腹が立ってきた。一発ど突いてしまいたい。
凶暴な私の考えは、心の中へ。
(…殴ってしまおうか。)
青の脇腹を肘で突いたのは、言うまでもない。
隣から聞こえた、小さな疑問を含んだ呻き声には聞こえなかったフリ。