占い師の恋【完】
最近、私の周りが狂ってきている。
あ。人とかじゃなくて環境がね。
やたらと
゙可愛い゙だの゙綺麗゙だの
挙げ句の果てには、彼氏でもない(名しか知らない)奴から
・俺の彼女発言
・束縛気味な発言
までされてしまっている。
当の私は、まだまだこの状況に慣れるわけもはずもない。
「まっきー、これどう?」
後ろからひょこっと出てきた笑顔の棗ちゃんに向き直る。
彼女が私の前に指でチェーンを摘むようにして見せているのは、雫をかたどった石が付いているブレスレット。
「かわ、いい…」
「ねっ♪まっきーのイメージに合うと思って」
「本当だ。可愛いじゃん。
コレ?棗がデザインしたやつ。」
「うん!数量限定なんだよ~」
少し照れくさそうに話す棗ちゃんを横目に、ブレスレットを左手首に付けてみる。
雫が揺れた瞬間、キラキラと輝く光に一度目を瞑る。
「この石…虹色だ」
「そうなの!全部の運が上がるようにって。」
棗ちゃんはレジへと小走りで向かい、ハサミを持って帰ってくると
ブレスレットに付いてある値札を切る。