占い師の恋【完】
効果音をつければ、『すすす』。
私の耳元に自分の口を近づけて手を添える。
「あっ君が気になるんだ?」
「ちょ…ちがう!!
私は変態は好きにならない!」
「(変態…?)」
棗ちゃんが首を傾げて考え出すから、もうこの際私も強引に次の話題へ。
「占い!そう、占い!
このお店にいるから、またいつでも来て。」
「あ、ありがと~。」
首は傾げたままだけど。気にしたら負けだな。
わざと気づいてないフリで。
「話終わったー?」
急に肩に加わる重みとプラスで、耳元で囁かれるような吐息混じりの声。
この男、自分の顎私の肩にのせやがった。
「マジどけろ!離れろ!恥ずかしい!」
「あはは必死だ」
硬直してしまっている私。
肩から重みはなくなったものの、後ろにべったりくっつくように立つ青。
(護衛かっての。)
まさにそんな感じを想像してください。
四六時中、どこを出歩くにも付きまとうあれを。
私の最低な言い草&偏見はどちらでも。
「さて、帰りますか。」
「え……うん。」
ちょっと待っててね
と、言ってお店の奥に行った青を見る私の視界に重なるように映る棗ちゃん。
「今日はありがと!楽しかったよ。」
「私こそ。ブレスレットありがとう。」
私がそう言うと、とても嬉しそうに笑う。