占い師の恋【完】
どんどん怪しく思えてくる。いや、この男自体元から怪しい。
引っ張られて運んでいた足をぴたりと止めれば。
青もそれに引っ張られるように足を止めて、悩むような顔で振り返った。
「なんの店?」
「うーん。何…」
「あんたふざけんな。どこ連れて行ってんだよ。警察呼ぶぞ。叫ぶぞ。」
「それは勘弁。」
じゃあ言えと言う目で青を見上げる。
……まあ、こんな馬鹿ってか変態野郎にはあんま通じない。
「上目遣いも可愛いね。占い師さん。」
久しぶりに聞いだ占い師さん゙。
そう思った途端に何だか耳が寂しい。
あの、青に名前を呼ばれたときの甘い痺れが恋しくなる。
「重症だな…。」
「え、俺?」
「もういい。早く行ってよ。
何かしようとしたら警察呼ぶ。」
「あはは了解。」
「冗談じゃないから。」
「……了解。」
ギロリと睨むと小さく頷いて再び歩き出した。
私、面倒な奴に捕まっちゃったのかな…。
それが正解ということはもうじき分かることになる。