占い師の恋【完】
「できたぞ。」
「…ったあ!」
そう告げられて、でこぴん。私の意識は引き戻された。
どうやら完成までの間に寝てしまっていたみたいで。
それにしてもこの男、一応客に向かって起こし方とかおかしくないか?
……いや、こいつの頭がおかしいだけだな。大切なことを授業で習ってこないまま大人になってしまったんだ。
「お前、俺を哀れな目で見るのはヤメロ。」
「ごめんなさい。」
「おう。可愛い所もあるんじゃねーか。」
「…なんて言うわけないだろ犯罪者。」
「やっぱ可愛くねぇ!」
子供みたいなやりとりを繰り広げている内に、私の腰掛ける椅子の横に青が立っていた。
青の二重で綺麗な瞳が、私を射抜くほど見つめる。
と、口の端を綺麗に持ち上げると
「上出来。」
「当たり前。」
風見さんも同様に口端を綺麗に持ち上げた。
二人揃って、゙綺麗゙なのが腹が立つ。
「おっと、まだ本人が見てねえな。」
そう言うと、風見さんは椅子を半回転させる。
そこには大きな鏡。
……鏡に映る、この女は誰だ。
「う、わ……。」
「茉希は素がいいからな。」
鏡の向こうで驚いている私の真似っこは、ナチュラルであるけどオレンジを基調としたメイクに、どうやってるんだろって思う複雑構造みたいなお洒落な髪型。