占い師の恋【完】




…この人、態度は最悪だけど凄いんだ。

犯罪者の正体は、何度か雑誌などでも取り上げられているらしい、カリスマスタイリストでしたってオチ。



あながち?有り得そうでそうそう有り得ない。

だってここまで接客が最低な人が嘘だって思うじゃん。


こんな男雇っていて大丈夫なのか?

誰しもが一番に、この店の存続を心配するぞ。




「風見くーん。今度はお願いしますねえ。」


甘ったるい声の主は20代後半か30代前半の女の人。

色目つかって、くねくねさせながら風見さんに近寄る。



「すみません。次は是非僕が。またいらしてください、お待ちしておりますね。」


風見さんはにっこりと優しく笑うと、女の片手を自分の手に乗せて。

紳士的エスコート。
出口まで案内する。


女を見送って帰ってきた風見さんへの第一声。



「理不尽だ!贔屓<ひいき>だ!」

「何を言う。俺は皆に平等だ。」

「違う!明らかに態度が違う!」

「違わねぇよ。幻か何かだろ?」

「ふざけんな、犯罪者!!」

「お前っ、声がでかいんだよ!!」


――再び頭をど突かれた。
小突かれたなんてもんじゃない。
゙ど゙突かれたのだ。



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