占い師の恋【完】
本当に腹が立つ。
もういいです、ふんと鼻で笑ってやるのが最後の仕返し。
「おい、何で俺が許してやるよみたいな感じになってんだ。」
ここからはガン無視。無視ってことに傷つきやすいらしい風見さんが謝ってきたことで、それも終了したが。
――――――――
――――――
「てか…マジで何なの青。」
「何が?」
あの後、会計もまたもや強引にされて払おうとする私をずるずる店から引っ張り出した青。
またな、なんて言ってひらひら手をふる風見さんに、一応会釈だけすると優しく笑われた。
で、今に至るのだが。
私は前を歩く青に強く問う。
「ふざけるな。何がしたいのって聞いてんの。」
「言ったじゃん。気に入ったって。」
「ただ俺は、茉希に喜んで欲しかっただけだよ。」
青は綺麗に笑うとただ握っていた手を、今度は指を絡ませるようにして強く繋げた。
どんどん顔や全身の熱が上昇していく。
さっきまで隙間のあった手は、完全に密着。手だけでも確実に伝わる体温。
(何か、倒れそう。)
目眩がする。心臓がうるさい。私まだ立ってるよね?
こんなに暴れる心臓の音、いまだかつて無かった。