占い師の恋【完】
――やっぱり、
行かなければよかったなんて今更。
これも何回思ったかな。ある意味、往生際悪い。
『俺以外の男と仲良くするなんか、許さないよ。』
っていうか…、あそこに連れて行ったのお前だろーが。
自分勝手反対。これじゃ私ただの被害者だよ。
あっさりと、ファーストキスを奪われてしまった私。
ジッと見下ろす青を何するのよって意味を込めて睨み上げる。
「俺だけ見ろよ。」
「…は?」
「茉希が見る男は俺だけでいい。」
「…意味わかんない。ふざけんな。」
これこそ理不尽というやつだ。どうして私が悪いの?
勝手に連れ出されて、勝手に連れ回されて、勝手にキスされて。
勝手なことばっかり言いやがって。
「名しか名乗らない奴に好き勝手される覚えも、命令される覚えもない。」
「まき…」
「私を勝手に縛り付けるな。束縛すんな。私はあんたの彼女でもなんでもない。」
「…。」
「私のこと好きでもない奴からこんなことされるのは、嫌なのよ。」
「…。」
盛大に吐き出した溜め息。俯く青に一瞬胸の痛みを感じたが、私は悪いことなんてしてない。
私の言っていることが正しい。絶対に。