【キセコン】お寒いのがお好き
「なんて書いてるの?」

「失せ物、しばらくすれば見つかる」

「なんでそこ言うのよ」

「や、なんとなくこの項目って不思議と先に目が行かない?」

「そんなとこはいいから恋愛のとこ見せなさい」

 茜は苛ついて時弥の手からおみくじを奪い取った。

「……」

 内容を読み時弥と杜斗を交互に見やる。

「やっぱり運命の相手ね」

「言うと思ったよ」

 返されるおみくじをげんなりした表情で受け取った。

 おみくじに書かれていた恋愛運は──

『すぐ近くにいる。逃がしてはならない』

 時弥は薄笑いを浮かべて心の中で涙を流す。
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