angel ring
純は名前の由来通り
世の中の汚い部分を知る事なく本当に綺麗な心のまま天国へと旅立っていった。


数時間後優が純を連れて私の病室に戻ってきた。


純は安らかな顔をしてただ眠っているかのようだった…


「純…眠ってないで目を開けてよ…お願いだから…目を開けて…お願い…」


私は純を抱きしめて泣き叫んだ。

初めて抱いた我が子は冷たかった。



純の腕には注射や点滴の跡が痛々しく残っている。

こんな小さな体に苦しい思いをさせてしまったんだと思うと、胸が締め付けられるように痛かった。



純の小さな手…

この手で私の手を握りしめる事は永遠にない…


純の閉じられた瞳…

もうその瞳の中に私が映る事は永遠にない…


純の小さな耳…

そこに私の声が届く事は永遠にない…


純のかわいらしい口…

そこから『ママ』と呼ばれる事は永遠にない…


初めて知る痛い位の愛おしいという感情…



純に何もしてあげれなかった悔しさ…


切なくて…

切なくて…

胸が苦しい…


「純…ごめんね…辛かったね…苦しかったね…」



私が純の痛みや苦しみを代わりに持つ事ができたなら…



…純…



1番失いたくなかった…


純の小さな体を抱きしめて私は泣き続けた…

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