angel ring
「玲、大丈夫か?」

優は、私の気持ちを分かってくれているかのように

あんな態度の私を責めるどころか心配してくれた。

「優…ごめんね…あたし最低だね…自分でも嫌になる…」

なんであんな事考えちゃったんだろう…

自分が恥ずかしかった…


「仕方ないって!今はそうなるのは当たり前だって。ごめんな…水族館って言ったら子供いるって所まで頭回らなかった…辛い思いさせてごめんな」


優は何も悪くないのに謝ってくれた。



そして、手を繋いで私をここの水族館の中で1番大きな水槽の前に連れていってくれた。


初めて見る巨大な水槽を前に私は

「うわぁ〜…」

思わず息を飲んだ。


水槽の中には、キレイな魚達がのんびり泳いでいる。


まるで時間がゆっくりゆっくり流れているかのように…


「すげぇな…」

優も巨大なアートを目の前にしばらく黙ったままだった。



「優…また赤ちゃん授かるといいね?」

「うん!絶対授かるよ!」

なんだか心が洗われたかのように素直な気持ちになれた。

それから私と優は、ペンギンやイルカショーなどを見てまわり水族館デートを楽しんだ。



「かわいい〜!」

私はさっきの出来事なんて忘れてしまったかのように思わずはしゃいでしまった。

「やっぱ玲は、笑顔が1番かわいいよ!」

久しぶりに私の笑顔を見た優は嬉しそうだ。


ねぇ…優

これからどんなに辛い事があっても平気だよ。

だって、子供を失った事以上に辛い事なんてないもん。

ちょっとの事位じゃ、なんとも思わない。

私は以前よりもずっと前向きになれた気がする。


外に出るのが嫌だったけど…

やっぱり来て良かった。

赤ちゃんを目の前にすると、まだ少し気持ちが不安定になっちゃうけど…

でも人の幸せをねたむより自分も幸せになろうって思う事の方が大切だと思った。


そう思えたのは優のおかげだよ。

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