angel ring
翌年

8月25日


「おぎゃー、おぎゃー…」


大きな産声と共に3530gの女の子が産まれた。

純の妹…


生まれたばかりの顔は純にそっくりだった。


名前は愛美(まなみ)

沢山の愛に包まれて育って欲しいという願いを込めてつけた名前。

愛美はとても元気で、泣き声は、まるで純の分と二人分泣いているかのようだった。

看護師さんがキレイに体を拭いた愛美を私の隣に寝かせてくれた。



愛美が元気に生まれてくれた事が嬉しくて…


こんな私でもまた母親になれた事が嬉しくて…

私は胸がいっぱいになった。


「生まれてきてくれてありがとね…」

また涙が止まらなくなった。

今度は、幸せな気持ちでいっぱいの嬉しい涙。

こんな涙ならいくら流してもいいと思った。



「喉かわいてるみたいだからおっぱいあげてごらん」

看護師さんに言われて私は自分の胸を愛美の口に近づけた。

誰も教えた訳でもないのに一生懸命私のおっぱいを吸っている。

その姿がたまらなく愛おしかった。



「きっと愛美は純が俺らの所に連れてきてくれたんだろうな…」

優が呟く。

「そうだね…きっと純が導いてくれたんだね」





純…

ありがとう…

純の分も愛美を大事に育てるからね。

純も愛美も私の大切な存在…

二人とも同じ位愛してるよ。



今は、毎日仏壇の前で手を合わせることしか出来ないけど…


純が生まれ変わってこの世に生まれてきた時は誰よりも幸せになれる事を心から願ってるよ…



そして…

もしも願いが叶うなら…

パパとママと純と愛美…

また家族になれたらいいな…




神様なんかいないって言ったけど…


今はなんだかんだで神様にお願いしてる自分がいる。



いつかきっとまたあなたのママになれますように…。

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