angel ring
「おつかれ様でした〜お先しま〜す!」

店をでたのは深夜の1時を過ぎていた。

車に乗ろうとすると

浩司が私の車の前にしゃがみこんでいた。

「浩司!?どうしたの!?」

浩司は立ち上がると

何も言わずにいきなり私を抱きしめた。

「………。」

「俺の方が先に…玲ちゃんの事好きだったのに…。俺の方が側にいたのに…。なんで優なんだよ…。なんで俺じゃねぇの?」

あまりにも浩司が強く抱きしめるから

私はその手をふりほどく事もできず

そのまま動けなかった。

「優には負けてるかもしんねぇけど…。俺、玲ちゃんの事好きなのは負けてねぇし…。俺と付き合って欲しいんだけど…。」

浩司の思いがけない告白。

私は、ゆっくりと浩司の腕を振りほどいて

浩司の目を真っすぐに見て言った。

「ありがと…。浩司の気持ち嬉しいよ!でも…やっぱ優君の事好きなの…。ごめん浩司…。本当にごめん…。」

「今はそれでもいいから!少しづつ忘れて俺の事好きなってくれればいいから…。」

「浩司…。」

「俺チャラいけど…今回はマジっていうか…。優の事見てる玲ちゃん見てるとすげぇ嫉妬してる自分がいて…俺こんなんなったの初めてで…優に渡したくないって思った。他の女の番号とかみんな消したし…。玲ちゃんしか見てないから!だから…俺の女になってよ…。」

精一杯に気持ちを伝えてくれた浩司。

本当に嬉しかった。

今の浩司なら私を大切にしてくれるに違いない。

でも…浩司の気持ちを受け止められない…。

私は涙を必死にこらえて言った。

「本当にありがと!でも…やっぱ浩司とは付き合えないよ…ごめんね…。」

そして

浩司は大きなため息をついて言った。

「やっぱ俺、フラれちゃったか…。玲ちゃんずりぃよ!そんな泣きそうな顔されたら俺押せないじゃん!!…やっぱ優には勝てねぇかぁ…。」

そぅ言うと、浩司はいつもの笑顔で私の頭を撫でてくれた。

「ここにいたら俺泣いちゃうから、もぅ行くわ!玲ちゃん気をつけて帰れよ!」

浩司は笑顔でそう言うと、車に乗り込んだ。

私は、浩司の車を見送る。

街灯にてらされた浩司の頬には涙が光っていた。

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