【短編】自転車で
そのとき突然、
彼の指が一直線に
こっちを指して彼が叫んだ。



「お前ら、見てみろ。
男前な潮元を見習えよ!」




いきなり名前を
大声で言われるもんだから、
私は驚いてバランスを崩し
自転車ごと転倒してしまった。





あ~あ、イケてない…。





同級生たちの口は
ぽっかーん、見事な丸だ。





「潮元、だっせーっ!まじかよ」

彼が大爆笑する。






「うるさーいっ!
藤本がいきなり話しかけてくるか…ら」

そう言って、
しゃべりの勢いで立とうとしたが
足に激痛が襲う。




「……痛っ!」





最悪。

捻挫した。
< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop