心獣
paradise1
安島市 某日、朝から真夏の日差しが男の背中に降り注ぐ。
今は七月だ、暑くない筈が無い。気温も三十五度をゆうに超えていた。
「ったく、痒いな。……背中アツッ。」
ベッドから転がり落ちた。
『ドッシーン』
一階にまでその音が響き、アパートの住人が怒鳴り込んで来るのではないかと思うくらい凄まじかった。
今にも鳴りそうな置き時計を止め、立ち上がった。カーテンを閉めた。
「焼け死ぬ。」