心獣
美玲は潤の後ろについて歩いていた。先生等が校門の前で早く入るよう怒鳴っていた。
「あ…のさ、潤君。怒ってる。」
後ろでモジモジとしている美玲。当然の如く無視を通した潤だった。
ため息と夏の暑さはミスマッチな関係だ。しかし、確かなる恋心を抱く者にとっては案外そうではない。
「チャイムなったろ、お前クラスでは良い子ちゃんなんだから遅刻したらまずいだろ。早く行けよ。」
美玲は黙って頷いた。潤は少し後悔した顔をしていた。
『起立、礼、着席』
間一髪のところで朝のHRに間に合った潤であった。
(アイツは間に合ったかな。)