心獣
美玲も潤と同様に、間一髪のところで間に合っていた。
「みーちゃん今日なんか遅かったね。」
クラスメートの真子が隣りの席に座って言った。確かにこんなに遅く来たのは始めてかもしれない。
美玲は笑ってごまかした。訳がどうしても言えなかったのだ。
真子も「そっか」と言って、そこまでは詮索しなかった。
「潤君、間に合ったのかな。」
ふと外に目を向けると、校門の前で立っている生徒と目が合ったような気がした。
その生徒は美玲が瞬きをした時にはもう居なかった。