《続》ポケット
リビングに入って、小さなテーブルを挟んで向かい合っているソファーに座らせてもらう。
いつもほとんどお母さんたちはいなかったから、二人の時間が多かったはずなのに、今日はなんだかいつも以上に静かだ。
「……。」
あまりにも静かで、私の心臓の音が聞こえていないか心配になる。
息をするのも苦しくて、胸が締め付けられる。
なんでだろう……
なんだか……はる君と距離を感じる。
ちらっとはる君を見れば、いつもみたいに優しく笑って。
だけど……やっぱりどこか違って。
……それは、私が意識し過ぎているせいだったかもしれないけれど。
「……………なんか飲む?」
ようやく、話し掛けられて嬉しいはずなのに、上手く言葉が出て来ない。
「…レモンティーで良い?」
そういいながらはる君が立ち上がった。
「あ、わ…私やるからはる君座ってて」
――なんとか、この空間から逃れたかった。
「ん、ありがと」
はる君が座り直したのを確認しながら私はキッチンに向かった。