《続》ポケット







「ねー10月って海入れんの?」








コース決めの最中、班の誰かがぽつりと漏らしたそれは教室の皆の動きを止めた。







…さっきまで、耳を澄ませていても目の前にいる人の声さえも聞きづらいくらいだったのに。







「一応、沖縄は10月末まで入れるらしい。その日の天気とかにもよるが。」









先生がそう言った瞬間に教室は盛り上がってしまって、他のクラスの担任に注意されてしまうくらいだった。








だけど、今の私には海とかどうでもよかった。










ただ、真井さんが私に対して何を企んでくるのかだけが気掛かりだった。










班の誰かが何か言ってても、全く頭にも入って来らず。











「…ねえ、あゆってば!」










いきなり目の前まで千夏の綺麗な顔が近づくから、びっくりして軽く叫べばムッと頬を膨らましたあかりちゃんと千夏が目に映った。
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