《続》ポケット
チカクナルフタリ
荷物はもう、既に送っていて。
一日目だけの分だけを、鞄に持ってる。
当日は、空港に朝早くから集合して。
本当だったら、多分はる君と行くはずだったんだろうけれど、二週間前くらいのあの日から必要以上の事以外、一切口をきいていなかった。
だから千夏とあかりちゃんと一緒に行かせてもらった。
事情をしっている二人は、
「もー、馬鹿なんだからー。
早めに仲直りしないとせっかくの旅行もつまらなくなっちゃうよ?」
わかってる、頭の中ではわかってはいるんだけれど中々行動に移せずに、いつの間にかこんなに時が経っていた、という状況で。
「あ、あれ水瀬くんと宮崎くんじゃない?」
電車の中で何を言い出すのかと思えば、思わぬところではる君の名前が出て、驚く。
あなたは、一体どんな目をしているの…
千夏が指差した方を見れば確かにあれははる君と輝くんで。
「…うん、そうだ。今しか、チャンスないよ。行っておいでって」
ポン、と背中を押され、もたつきながらもそこまでたどり着くと、
「歩夢ちゃん!」
と輝くんが驚きを見せる。
あ、と空気を察したのか輝くんは私たちを見るとがんばってと言いながらその場を離れた。