《続》ポケット
――――…
―――――…
「…ん」
なんだか居心地のよい、背中だなんて思う。
ついでにはる君の匂いもして。
……………………ん?背中?
不思議に思い、ゆっくりと目を開ければ、知らない光景で。
「あ、あゆ起きた!」
と突然、目に映る千夏が言う。
え、今日って修学旅行…当日じゃなかったっけ…
確か、電車に乗って……はる君と仲直り出来て……あれ、あれ?
そこから先の記憶が全く出て来ない。
「……はる君は?」
と目の前の千夏に問い掛けると、おでこに衝撃が走る。
「いった…あ」
千夏に指を弾かれた場所を抑えていると
「……目、覚ましなって。」
と指で前を指すとため息を漏らす。
慌てて前を見ればはる君の横顔で。
「はる君?」
と大きな声を出す私に、はる君は耳を塞ぐ。
「わ、ごめん、てか降りるっ」
と声のボリュームを下げ謝り、言う。
小さくはる君がしゃがみ込み、はる君の背中から降りると目の前はもう、空港だった。