《続》ポケット
学校に行けば、いつもそう。
皆は真井さんが怖いから見て見ぬフリ。
もとを言えば、一番悪いのは負けた私で。
私がいじめられるんだったら、納得出来るんだけれど。
真井さんは私には特に暴力的なことはしてこない。
私にしないで、千夏にするなんておかしな話しだと思う。
それなのに千夏は……私を責めない。
「大丈夫だから、何かあったら言うから!」
つい、目の前で笑っている千夏の笑顔は嘘なのかな、と疑ってしまう。
…だけれど、とりあえず頷いておく。
千夏がまた、悲しい表情になってしまうから。
「…うん」
「じゃあ、またね。」
最後まで笑顔の千夏を目だけで追いかけ、建物で隠れて見えなくなるまで見て、私は家へと足を動かした。