《続》ポケット
……ふと、その辺にいる人と目が合った。
目が合った人は顔をひきつらせていた。
さっきから、ずっとそう。
みんな私を不思議そうに見ては顔をひきつらせる。
ここの道を通る人たち皆が、不思議そうに私をみる理由は
私がさっきから家の前の同じ道を行き来しているのだ。
…あの日から、ほんとうに全く話してなくって。
いざ、家を目の前にしても最後の一歩が踏み出せず、長い間ずっと同じ行動を繰り返している。
……………よし、頑張ろ。
勇気を出し、一歩を踏み出してからカタンと、玄関の前のドアを開けてインターフォンに手を翳そうとすれば、いきなり玄関のドアが開いた。
いきなりで、心の準備が完全じゃなかった私は、俯きぎゅっと目を閉ざした。