RaisonDetre
Belle Epoque ~良き時代~
東から今日も風が吹いた。

見下ろした街は壮大なものだった。

街に沿うようにして静かに柔らかな葉を揺らしているのは街にも劣らないこれも果てしない草原。

その素晴らしい景色に似合わない男が一人たたずんでいた。

ボロボロのマントに無精に伸ばした髪、履いているブーツは靴ひもが片方ない状態だ。
最後の極めつけはその格好に一番似合わない赤く草臥れた大きな羽のついた帽子だった。

誰もが見てみぬフリをする格好だと自分でも思うほどだ。

「靴ひもをそろそろ変えるべきか?」

問題なのは靴ひもではないと皆さんのツッコミが入りそうだがそんなことを男は気にしない。

身なりの事などお構い無しに今見える情景に無で躍らせているのだ。
草臥れた帽子を深くかぶり男は駆け出した。



「500年前と何も変わらないのはなんでだろうな。」
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