RaisonDetre
「こんな時間にこんな所でなにしてるの?」
辺りを見回すと声の主はパン屋の看板を店の中にしまおうとする少年がクライドを見つけて話しかけてくれたようだ。
「あーいや・・・ちょっと宿を探しているんだが。」
「宿!?ここから1~2時間歩かないとこの辺にはないよ?」
最悪だ。今の時間から歩いていっても宿は空いていないだろう。
「おじさん、明日の予定は?」
「なっ!おじさん!?」
「あぁこめんね?気を悪くしたかな。おにいさん。」
慌てて言い直した少年はそれでどうなの?と聞いてくる。
「明日は・・・。」
どうするか、言われたとおりに城に行くか?
いや・・・でもあいつに金もらったから行かねぇわけにも以下ねぇしなぁ・・・。
「あー・・明日は朝一で城にちょっと用があって。」
「城!?何お・・・おにいさんお偉いさんだったの?こんな所にいるからてっきり普通の人かと・・・ごめんなさい。」
ペコリと頭を下げる少年に対してクラウドは手を振って講義した。
「いやいや違う。ちょっと呼ばれただけ。俺は旅のもんだよ。」
「あ。そうなんだてっきりそうなのかと。」
じゃあ言うと少年は看板を店の中にしまった。
「狭くてもいいなら僕んちにおいでよ。こっからならお城も近いしさ。」
「いいのか?」
あまりに軽々しく言うものだからかえって驚いた。
「いいよ別に、僕とお姉ちゃんしかいないし。」
あーじゃあお言葉に甘えまして。
「ありがとな。」
クラウドは破顔してみせた。