《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「…………何?」



席を立ってドアを開け、
戸惑いを隠さない声で聞いた。



お父さんは中に入ってきて、
部屋の真ん中辺りに立つと、



「話があるんだ。

お母さんの……というか、
この家のことで……」



「家のこと……?」



あたしはますます訝しげな
顔になってしまう。



だけどお父さんも、それに
負けず劣らずの思いつめた
表情をしていた。



そして――眉間に深い
シワを刻んだまま、
お父さんは、こう言った。



「引っ越そうかと思うんだ。

お父さんの、田舎の方に――…」


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