《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
ようやくお父さんの
言ってる意味が理解できた
あたしは、その体にしがみ
つくようにくってかかった。



お父さんは驚いた顔を
しつつも、軽々とあたしの
両肩を掴んで、



「ここでの生活じゃ、
お母さんが何かと辛いだろう。

それで前から考えてたんだ。

ちょうど山梨市内に、
お父さんの会社の支店が
あって――…」



(転勤させてもらえるってこと?

……そんなの知らないよっ)



「あたしはっ?

あたしはこっちに残って
いいの!?」



叩きつけるように問うと、
お父さんは一瞬目を見張る
けど、すぐにその目を
伏せて首を横に振る。


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