《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
まだ温かい、缶コーヒーだった。



「これ、将輝が今買ったの
じゃ……」



「――んだけど、お前に
やるから渡してんだろっ。

ったく、いちいち聞くん
じゃねーっての!」



今度こそ怒鳴って、将輝は
勝手にプルリングを
開けると、その状態で
あたしに押し付けてきた。



「……いいから飲め。

ちょっとはあったまる
だろーから……」



「………………」



意外すぎるほどに意外な、
将輝の優しさ。



あたしは放心状態に近い
心持ちで、条件反射的に
コーヒーを一口飲む。


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