《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「……山梨の田舎に
引っ越したいんだって。

嫌だって言ったら、悪者
みたいな目で見られた」



しばらくの沈黙の後、
あたしは低い声でポソリと
そう言った。



将輝は驚きを隠さず、
目を真ん丸にして、



「引越しって……お前も
転校するってことかよ!?」



「そうして欲しい
みたいよ、親は」



あたしの意志なんて、
聞こうともしてくれなかった。



「なんでだよ? 

親父さんの転勤か?」



矢継ぎ早に尋ねられたけど、
あたしが何も答えないで
いると、将輝は何かに
思い当たったようにハッと
息をのんで、


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