《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
思いがけない言葉に、
あたしは空から視線を戻す。



目を向けた先で、久住先生は
まっすぐにあたしを見てた。



そしてほんの少し目を細め、
静かに小さな息をつくと、



「人は忘れていく生き物だ
なんて、よく言うけど……

そうじゃないことだって、
数え切れないほどある。

前が見えなくなるほど辛い
過去に囚われてしまうこと
だって――あるよ」



「先生―――…」



「……如月は今、その
真っ只中でもがき苦しんで
るんだね。

わかるよ。その辛さは……」


_
< 179 / 440 >

この作品をシェア

pagetop