《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「何をって――…」



ふいに引き出された思考に、
あたしはつい表情が陰って
しまいそうになり、慌てて
それを追い払った。



「……特に何もないですよ。

あぁ12月だなぁって、
それだけです」



「ふぅん、そうか――…」



「……ハイ」



世間話のような何でもない会話。



文化祭のあの日、あたしは
先生の前で大泣きして
しまったけど、先生はその
ことについて、何も聞こう
とはしない。



きっと、あたしが自分から
話さない限りは、尋ねる
つもりはないんだと思う。


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