《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
最寄り駅で降りて、駅から
家までの道を歩く。
ようやく鼓動は収まった
けど、代わりにもう何度と
なく、深い深いため息が漏れた。
(先生なのにあんなこと
言うなんて、反則――…)
お礼だなんて言ってた
けど、ホントは絶対に
そんなの必要ない。
あたしが勝手に先生の
演奏を好きになって、
聴きに行ってるだけなんだから。
それなのに、あんなこと
言われたら。
(どうしても、変なこと
考えちゃうよ……)
――淡く甘い期待が、
胸をくすぐる。
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