《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
破裂しそうなほどの鼓動が
先生にまで聞こえるんじゃ
ないかと不安で、あたしは
つい憎まれ口を言った。



先生は困ったように眉を下げて、



「えぇっ? 

酷いな、褒めたのに」



「……おかしくないですか?」



勇気を出して尋ねてみる。



返ってきたのは、普段と
少しも変わらない優しい
笑みと、声だった。



「――全然。可愛いよ」



「………………」



この言葉だけで、なんか
もう、体が浮いちゃい
そうなくらい幸せかも。



すでに夢見心地になりかけ
てるあたしを、先生の声が
現実に引き戻す。


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