《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
大きな掌で後頭部をグッと
押される。



それだけで、また息が
苦しくなるくらい心臓が
キュウゥッと鳴った。



先生が冗談でする
仕草や言葉に、あたしは
振り回されてばっかりだ。



「……子供扱い……
しないで下さい………」



呟いてみた言葉は、
小さすぎて先生には
届かなかったみたいだった。



「………ん? 何?」



「―――何でもないです」





やがて会場の照明が落ち、
開演の時間になったことを
告げる。



緞帳がゆっくりとあがった。


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