《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
オーケストラの席に囲まれる
ようにして、ステージの
中央に置かれた立派な
グランドピアノ。


真っ黒な艶のあるボディが、
ライトを浴びて放つ光が綺麗だ。



そしてそこには最初から
一人、男の人が座ってた。



オーケストラはまだ配置に
ついてない。


どうやら最初は、ソロから
始まるみたいだ。



「……………っ!」



ステージ上の彼の細い指が、
鍵盤に触れたとたん。



――会場は一瞬にして、
彼の作り出す音の奔流に
飲み込まれる。


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