《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
最後の旋律が響き渡る頃
には、あたしは鼻がツンと
痛くなって、今にも泣いて
しまいそうだった。



(こんなすごい演奏、
初めて聴いた……)



久住先生の演奏に対する
感動とはまた違う。



演奏家としての
素晴らしさや、見事さ。



こんな弾き手がこの世に
いるんだということに、
心から感動と、尊敬を覚えた。



「す……ごい………」



無意識のうちに震える声を
漏らすと。



……突然、隣の席から、
スッと伸びてくる腕。



「あ…………」



久住先生が静かに微笑んで、
あたしにハンカチを差し
出してくれてた。


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