《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
ビクン、と体が強張った
のが自分でわかる。



今耳にした言葉が現実か
どうかわからなくて、
先生の目を穴の開くくらい
見つめた。



「………ど、して………?」




――あたし、先生に何も
話してないよ?



なのにどうして、そんな
こと言うの?



どうして………わかるの?





「―――弾いてたんだろう?
昔は」



「……………」



返す言葉は見つからなかった。



どうしていいのかわから
なくて……


あたしはただ無意識に、
先生から遅れないように
右と左の足を前に出すだけ。


_
< 232 / 440 >

この作品をシェア

pagetop