《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
だってあたしはたしかに
思ってたから。


“あたしにもこんな演奏が
できたら”って――…。




「でも君はそのことを
話そうとしないし、指を
見れば最近弾いてない
ことはわかる。

だから思った。過去には
弾いてたけど、何かの
事情でやめてしまったの
かもしれないって」



「………………」



さすが鋭いな、先生。



先生もそんなこと一言も
言ってなかったけど――

全部、お見通しだったんだ。



あたしは先生から視線を
そらして、近くの街路樹に
目をやった。


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