《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
常緑樹じゃないみたいで、
真冬の到来を前に葉は
ほとんど落ちちゃってる。



黄土色の葉が数枚残る
だけのむき出しの細い枝が、
何だかものすごく寂しく見えた。



(………あたしみたい)




「……だけど、何度か君と
会ってるうちに気づいたんだよ。

この子はまだ、諦めきれて
ないんだなって。

やめたことに納得してる
フリして、本当は心の奥で
叫んでる。

まだ、ピアノが弾きたいって」



(……………っ!!)



あたしはまた足を止めて
しまった。


_
< 236 / 440 >

この作品をシェア

pagetop