《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
#9 過去からの譜面
     * * *



白いドアに白い壁。



無機質な部屋で白い
シーツを胸までかけて、
彼女はベッドに横たわっている。



ぼんやりと天井を見上げて――
あたしの目を見ることも
なく、こう呟く。



『どうしたらいいか
わからないのよ、花琳。

音をなくして――あたしは
これからどうすればいいの。

こんなのもう、あたしじゃ
ない……!』



その表情のあまりの悲痛
さに、あたしはなんと
答えたらいいのかわから
なかった。



慰めなんて、きっと何の
意味もない。


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