《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「……………」



やがてあたしは、とうとう
音楽室の前にたどり着いた。



この部屋のドアは防音性の
高い素材でできた大きな
両開きのドアで、廊下側
には窓もない。



だから当然、中は全く見えない。



だけど今も中から聞こえる
ピアノの音が、そこに
誰かがいることをハッキリと
教えてくれてる。



(大丈夫……だよね……)




―――少しだけ。


ほんの、少しだけ。




……あたしはドアノブに
手をかけ、ゆっくりと回した。

音をたてないように、
細心の注意を払って。


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