《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
そうしてほんの10センチ
ほど、ごくわずかにドアを
開き――その隙間から、
中を覗き込む――…。



(え………あれって………!?)



狭い視界の中でピアノに
向かってたのは……すごく
意外な、思ってもない人物。


細身でストレートの黒髪の、
若い男の人だった。



(たしか―――久住先生、
だよね?

現国の………)



下の名前は知らない。



だって彼は、かろうじて
顔と名前が一致するだけの、
あたしは教わったことの
ない先生だから。


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