《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
空気が重くなるのが嫌で
精一杯軽く口にしたけど、
先生はますます困り果てた
顔になってしまう。



「おかしいって、君ね……。

まったく――本当に君は、
不思議な子だな……」



「アハ……ごめんなさい……」



「謝る必要はないけれど。

――でも正直、驚いたよ……」



「―――迷惑、ですか?

あたしが勝手に、想ってる
だけでも……」



破裂しそうな心臓を、
懸命に抑えながら尋ねた。



先生はまた、真剣な瞳で
食い入るようにあたしを
見つめたけど――

でもやがて、頬にフッと
穏やかな笑みを浮かべて、
ゆっくりと首を横に振る。


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