《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
     * * *



―――そうして。



お姉ちゃんがこの世を去った
あの日から5回目の、12月
19日の朝が来た。



だいぶ早く起きたのに、
リビングに入るともう
お母さんがソファに座ってる。



というか、寝てないのかも
しれない。



おはよう、と声をかけると、
お母さんはクマのできた
うつろな目であたしを見上げた。



「………おはよう。

もう、5年になるのね……」



「………そうだね」



お母さんが動く気配がない
ので、あたしは代わりに
キッチンに入ってコーヒーを
沸かし始める。


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